正弦波インバータは直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器であり,負荷の電圧を正弦波目標値に追従するため,分散型電源や無停電電源装置などの多くの電力変換アプリケーションで広く使用されている.正弦波インバータを利用する際,正弦波目標値に対する定常偏差や高調波歪み,負荷変動に対するロバスト性などの制御仕様を満たすために,従来様々な制御器設計法が提案されている.
 先行研究では負荷の正実性を利用した制御器設計法を提案しており,任意の線形負荷に対しロバスト安定性とロバスト性能を保証している.しかしながら,非線形負荷や高調波歪みに対して未検証となっている.

 本研究では,任意の非線形負荷にかかる電圧を目標値追従させる正弦波インバータのロバスト制御器設計法を提案する.また,提案手法の有効性をシミュレーションおよび実機実験によって明らかにする.