自動車部品の試験装置の一つにエンジンベンチというものがある.エンジンベンチとは,ダイナモによってエンジンに仮想的な負荷を与える装置である.エンジンとダイナモはバネ特性を有するクラッチを介するため,機械系全体では2慣性系にモデル化される.また,クラッチはねじれトルクによってバネ定数が変化する非線形特性を有する.よって,モデルベースの制御を行うにはバネ定数変動を陽に考慮する必要がある.

 さらに,エンジンからは一定のトルク出力に加えて,爆発燃焼による大きな振動成分を持つトルクが入力される.この振動成分はトルク外乱として振る舞うため,システム安定性のために制御する必要がある.

 本研究ではバネ定数の変動を考慮する方法として,ポリトープシステムによる制御器設計を領域極配置とメタヒューリスティクスを用いて行う.