近年,警備業界の人手不足から,カメラを搭載したドローンの自動追従による防犯対策が期待されている.不審物などの移動体に対してドローンを接近させるほど特徴把握が容易になり,監視業務等に貢献できる.

ドローンを移動体に接近させた場合,その精細な情報を獲得できるが,移動体動作が未知なためカメラの画角から外れる可能性が高まる.一方でドローンを遠ざけた場合,画角内へ移動体を捉えられるが,得られる情報精度は低くなる.よって,移動体をカメラ画角に収めつつ,詳細な情報を得るようなドローンの最適位置制御が求められる.

この実現のため,移動体の将来動作を推定し,その推定値をもとにドローンを制御する必要がある.しかし,必ず実際の移動体動作と推定した移動体動作に誤差が生じるため,移動体がカメラ画角から外れる恐れがある.既存の手法では,その推定誤差を考慮したドローンの追従制御に関して検討されて来なかった.

そこで本研究では,移動体動作の推定精度に応じたドローンの追従制御を目的としている.この目的を達成するため,ガウス過程回帰を用いた移動体位置推定とその精度の見積もり,およびモデル予測制御を用いたドローンの最適位置制御を提案し,その有効性をシミュレーション及び実験によって明らかにする.