環境問題の観点から風力発電に期待が高まっているが,その運用・保守にはかなりのコストがかかっている.主な要因は風力発電機の系統連系に使用されるフルコンバータの故障であり,中でも直流リンクに使用される電解コンデンサは,故障原因の30%を占めている.そのため,フィルムコンデンサなどの長寿命な部品の使用が求められるが,フィルムコンデンサは電解コンデンサに比べてエネルギー密度が低いため,単に取り換えただけでは直流リンク部分の平滑能力が著しく劣化する.この課題はインバータのスイッチング速度を上げることで解決できるが,むやみにスイッチング速度をあげることはシステムの信頼性の低下につながるため,メンテナンス頻度の更なる増加を招く.

本研究では,風力発電システムの信頼性向上とメンテナンス頻度低減を目的とし,新たな系統連系方式としてZ ソースフルコンバータを提案する.提案構造の制御方法や設計手順を確立させ,その有効性をシミュレーションおよび実機実験によって明らかにする.