近年の通信技術の発達によって,制御対象と制御器を遠隔でネットワーク接続したネットワーク制御系が注目されている. このネットワーク化制御系では, システムの構成要素を無線で分散配置できるため, 導入やメンテナンスが簡素化できるメリットがある. 一方で, 通信を介することに起因するデータの遅延, 欠落, 通信容量の制限によって制御性能が劣化してしまう. そのため, 制御性能を考慮できるような通信方法が必要である.

 本研究では特に通信容量の制限に注目し, 制御性能を考慮した通信削減方法を提案することを目的としている. 通信の削減方法として, 制御周期ごとに送信要素を選択するスケジューリングという方法をとる. そして本研究の特徴は, このスケジューリング則を強化学習によって導出することである. 強化学習を用いる方法であれば, スケジューリング則の導出に制御対象のモデルを必要としない. そのため, 制御対象の種類に縛られることなく適用可能な手法である. この, 強化学習を用いたスケジューリング手法について, 有効性をシミュレーション及び実験によって明らかにしていく.