近年,情報通信技術の発展に伴い,通信速度が向上している.そこで,ネットワークを介した通信によりリアルタイムで制御を行うネットワーク化制御が 注目を集めている.NCSで用いる通信路にネットワークを用いる場合,1対1の通信と異なり,様々なデバイスが接続されデータの授受をしているため,通信路容量に制限があり,データの遅延やジッタ・欠落が発生し,それに対する補償を用意せずに制御器を設計すると,制御性能の悪化を招く恐れがある.

そこで,ネットワークで生じる可能性のある時変遅延に対する補償を考える.ここでは,遅延データの再利用及び状態の分散を考慮した目的関数に加え,入力の予測値を制約条件として導入した新しいモデル予測制御の手法を提案し,その有効性をシミュレーションや実機実験によって明らかにする.